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◇◇◇
カチャカチャとお皿の上でナイフとフォークが踊る音。
静かな食事の時間が始まってから、10分位が経過しようとしていた。
「モロヘイヤ、美味しいかい?」
「固形オイルに掛かっているこのソースなのですが」
「美味しいか!?」
「いえ、固形オイルの素朴な味の良さを邪魔しているかなあ……と」
私の食事は固形オイル。アンドロイドの私には、先生が食べるようなご飯が食べられないのです。まあ、別に欲しいとは思いませんが。
「え、邪魔してるか? あ、ああ……そうか。邪魔か」
「……」
私はそんな感じだから食事に対しての不満は無いのですが、先生は私がそう思っているとは感じてないらしく、毎回私の食事に趣向を凝らしてくる。
オイルだって、わざわざ固めなくても液体のままで良いのに、先生は手間を掛けて私のオイルを固めるのだ。
「まあ……まずくはありませんが」
「え、そう!?」
「はい、嫌いな味では無いですよ。ただ、えーっと、そうですね、固形オイルに掛けるには味が個性的すぎると言いますか……」
不安そうな顔の先生を見ていると、私の口からはたくさん余計な言葉が出てくるのだという事を最近知った。
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