モロヘイヤ、先生と談笑する

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「あまりこちらをジロジロと見ないでください。食欲が減退します」 「言葉がひでえよ」  ね、余計な事を言ってしまうのです。  先生を軽くへこませてしまったりしながらも、私はゆっくりと食事を摂り終える。 「ごちそうさまでした、先生」 「ああ」 「さて、と」  ナプキンで口元を拭いて、私は席を立つ。  長方形のテーブル、対面する形で座っている先生の方に空の食器を押し付けて、目指すはマイルーム。 「お、おいおいマジかよ。食器はお前が片付けなきゃ駄目だって」 「私は忙しいのです」 「いやいや、そうだとしてもこれは駄目だろう?」 「模型作りが佳境に入ってるから今日は引きこも……いえ、精神集中しないと」  言い終わらない内に、先生から食器を突き返されてしまいました。  親指を下に向けながら先生に口を尖らせたら、目を丸くして怒鳴られたので泣く泣く後かたづけです。 「防水加工をしたのはこの為だったのですね」 「うるさいよ。早くしろよ。それに言ったろ? 今日はお前に頼みごとをしたいから、部屋に引きこもる事は許しません」  私を……どうする気? 「なんと過酷な。先生……私の模型作りを邪魔して優越感に浸る気ですか?」 「それと言わせてもらうけどさ、私に作られたアンドロイドのお前が模型作るってどうなのよ?」  それもまた良し。
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