モロヘイヤ、先生と談笑する

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 ニッパーを使って、パーツをパーツセットから切り離す瞬間──。 「私は鳥になるのです」 「また分かんない事言ってるよこの子」 「話は終わりましたね。皿洗いの後、私は部屋にこもり……いえ、精神を高める為に」 「何回繰り返すんだよお前。何回でも却下だから、皿を洗い終えたらまたここに戻って来る事! いいな!」  なんという惨劇。  この平和な村で、一人の少女の自由が摘まれようとしている。なんという惨劇。  私の自由が。 「先生、この恨み……決して忘れはしないでしょう」 「なんなんだよそれ。用事が片付いてから模型を作ればいいだろう。なんで私が恨まれにゃならんのよ」 「こんな汚らしい皿を私に……」 「お前の皿だバカ」  呆れた様に呟いてから、先生は私をほったらかして居間を後にした。  パチパチと火がはぜる音を聞きながら、今、私は自分の中の苛々が徐々に高まっていくのを感じている。  そう。この皿を、床に叩きつけて割ってしまいたくなる程にです。 「……」  先生に怒られるのが嫌だからやりませんけどね。 「私は、大人で違いの分かるアンドロイドですから」  先生の自信作ですから。
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