モロヘイヤ、先生と談笑する

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 それにしても、食べ終わった後のお皿というのは何故このように汚らわしいのでしょうか。 「この世界には、まだまだ私の及び知らない事が多々あるようですね」  お皿を持ち上げて、私は流し台へと向かう。  暖炉の暖かさが名残惜しいけど、私はしっかりと冷たい水を使用してお皿を洗うのです。  私は過酷な運命に立ち向かえる子。  寒さときちんと向き合える子。  アンドロイドなのに寒さを感じるのは何故?  そのくせ、しっかりと防水加工が成されているのは何故?  先生が妻に逃げられたのは……何故? 「全然皿を洗いに行かないよこの子!」  先生だ。  なぜ食卓から立ち去ったはずの先生がここに。 「私が恋しくなってしまったとしか思えない──」 「お前が全然流し台に行かないからだよ! ずっとそこで見てたけどお前はなんたる有様だよ!」  なんたる言い草。
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