アンドロイドモロヘイヤ

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 知識はあります。  先生のパーソナルデータも分かりますし、この世の中でこれまで何が起こってきたのかも。  私が実際に見た訳では無いのですが、なぜだか分かるのです。 「ある程度の知識は君の中にインプットしてあるからね。でも、それは全てじゃない」  ケチりましたね先生。  心が不細工な人間は、決してろくな死に方はしないそうです。 「そんな格言はインプットしてませんけど。なに適当ぶっこいてんの?」  先生。  願わくば先生の奥様が帰って来ます様に。 「あ、そのデータは後で消さなくちゃ。家内が家出したイライラで打ち込んだデータ……」  この世の中の全ては知らない?  私の中にはこんなにたくさんの知識があるというのに。  私にはまだまだ知らなければいけない事があるというのですか? 「ああそうだ。君にはこれから、この世界を自分の目で見て、感じて。そうやって自分なりにこの世界という物を理解していって欲しいんだ」  先生。  私は面倒臭いという言葉をチョイスしてみました。 「するなよ。好奇心をくすぐられてくれよ」  私の部屋は用意されているのですか?  中から南京錠とかで施錠は出来る作りなのですか? 「なにお前。引きこもろうとか考えてんじゃ無いだろうな!? やめてくれよ、そんな不健康なアンドロイドを作り出した覚えはないよ?」  私なりの世界。  部屋の景色だけを見て過ごす、私だけの世界。 「引きこもりの視点じゃないか! ダメだぞ? そんな事になったらお前の回路を停止させるからね?」  チョベリバ。
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