アンドロイドモロヘイヤ

5/5
前へ
/264ページ
次へ
 身体が。  温かい。 「お、目を開いたな。どうだいモロヘイヤ、今の気分は」  今の気分?  とっても。  とっても。 「眩しいです、先生」 「はっはっは、それもじきに慣れる。薄暗い世界よりも幸せだろう?」  確かに。  それは確かにそう思います。  さすがに先生です。 「さすがに先生です。無駄に年食ってません」 「……いかん、思いも寄らぬ毒舌っぷりに涙が」  眩しくて、きらきらした世界。  私が目にする色々な物は、どれもが輝いて見えて──。 「でも、一番輝いているのは先生……」  貴方の頭です。 「悪かったな。つるっぱげで悪かったな。目は口ほどに物を言うんだよ? モロヘイヤ」  これから私は、何を見るのでしょう。  何と出会って、何を思うのでしょう。  姿見。 「私の姿……」  先生が私の為に置いてくれた姿見には、一人の女の子の姿が写っていた。  一人の── 「可憐ですね。先生、この可憐な少女は誰ですか」 「お前……実は凄く腹黒いアンドロイドなんじゃないか?」  これからの私に待ち受けている物は何か。  先生、私はこれからの旅が楽しみで仕方ありません。  これからの、私の大活躍が。
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加