モロヘイヤ、先生と談笑する

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 世界は光で溢れている。  私がそれを知ってから、幾年か経過しました。 「おはようございます、先生」 「おはよう、モロヘイヤ。お前が部屋に鍵を掛けるから、部屋に入るのに結構な時間を費やしてしまったよモロヘイヤ」  朝から騒々しいのはいけませんね。  朝は静かに過ごすのが良いのだと、昨日何かの雑誌で読みました。 「先生、なぜ乙女の部屋の入り口をこじ開けてしまうのです。夜這いならぬ朝這い。しかも相手はアンドロイド」 「お前が全く起きてこないからな? 昨日、寝過ごすなってあれ程に釘を刺したのにな?」  ……。  枕元のデジタル時計には11時30分の文字。  デジタル時計に目をやるアンドロイドの私。 「滑稽だとは思いませんか?」 「何が」 「思考が口をついて出ただけの事。それ以上の詮索は無用です」 「前々から言おうと思ってたんだが、お前はいったい何様のつもりなんだよ」  貴方の秘蔵っ子。  なんて言ったら怒られるのでしょうか。 「貴方の秘蔵っ子」 「や、やめろ!」  警戒の色を強められてしまいました。
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