モロヘイヤ、先生と談笑する

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 起きなくちゃ駄目みたいです。  生ぬるくて湿っぽい空気が、私の10畳ほどの部屋に沈殿しています。  私の。  10畳ほどの部屋にね。  一人で。  10畳なのよ。  ラッキー丸儲け。 「ふふん。勝ち組、という事でしょうか」  布団からふかふかの絨毯に足をおろす。ベッドは、訳あって先生に取り上げられたので布団は絨毯の上に直敷き。  部屋の空気を入れ換えたいと、私の中の私が叫びます。  今朝は湿度が高いのでしょうか。  昨晩降りに降った雨が尾を引いたかの様な今朝の湿気。  ふかふかの絨毯を数歩歩いて、私は窓に掛かるカーテンに手を伸ばす。 「ぷーぷっぷぷぅ。むーらさきぃーかぁーーてぇんーーぱーぱらぁらぁらぁらぁー」  窓際に近づいて分かった事。  それは、小雨ながらに今朝も外の景色が雨模様なんだなという事。 「ぱぁぷぅー、ぷぅーぷぅぷぅぷぅー」  雨粒は細かく、霧さめの様に降っているから窓の外からぽたぽたという音が聞こえない。  だから、私の自作の歌“カーテン開けよう”の歌声がよく聞こえます。  部屋の外のつかつかつかの足音の後に、景気よく部屋のドアが開かれたのもよく聞こえます。 「うるさいんだよモロヘイヤ、何をぷうぷう言ってるんだ! 早く朝飯という名をした昼飯を食べに来いよお前!」 「ぷぅ!」 「返事は“はい”だろうが!」 「ぴぷぅ!」 「これ以上生みの親をおちょくるんじゃないよお前は!」  私はただ、歌声で返事しただけなのに……。
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