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そして、家の中で後悔する。
何故逃げたのかと。
逃げず警察に行けば良かったのだ。所詮逃げ切れる筈がないというのに。
何故ここに……。
明日の朝になれば警察が自分を捕まえに来る。
あの喧騒を誰も聞いていなかった筈がない。何より馬乗りになって首を絞めたのだ。
何らかの痕跡が残っていておかしくない。
それが分かっていながら、何故逃げたのか……。
そんな自問自答すら逃避である。本当に自首をするつもりなら、今すぐにでも家を出れば良い。
それをしないのは、どこかでこのまま何も起きずに時が過ぎ去るのでは無いかという、奇跡のような事象が起きないかと願っているからか……。
結局、男は警察への恐怖、人を殺めた恐怖……。
恐怖に苛まれたままベッドのシーツにくるまり、一睡もせずその晩を過ごした。
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