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   ただ一つ。その殺人が残したものがあった。  疼き。  あの日、首を絞めた感覚が、いつまでも残っているのだ。  そしてその感覚は、決して不快なものではなく、むしろ。  むしろ、甘美なまでに彼を誘った。  再び首を絞めたいと。彼は日増しに思うようになっていった。  そして最初の殺人から七日後。遂に二度目の殺人を決行した。  相手はそこら辺にいた浮浪者だった。  無防備に眠るその浮浪者を見て、我慢が効かなくなった。  そして彼は己の欲望のまま、浮浪者の首を絞め、殺した。  それが彼の二度目の殺人だった。  だが、やはり彼が裁きの場に引きずり出される事は無かった。  それから彼は何度も罪を重ねた。  いくら殺しても殺しても、彼を疑う者はいなかった。    
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