7/8
前へ
/10ページ
次へ
「はい、良い子にしてたルカに」 彼はアタシをルカに手渡した。 ルカは歓声をあげながら、荒々しくアタシを袋から取り出す。 「お人形さんだ! 可愛い!」 「良かったわね、ルカ」 髪を後ろでくくった優しそうな女の人が彼女の頭を撫でると、ルカはくすぐったそうに頷いてた。 「お兄ちゃん!」 その後、ルカはアタシを抱えて何処かへ走っていった。 箱の中でアタシが揺られるのも気にせずに。 本当、気分が悪かったわ。 ルカが走っていった先には、1人の男の子が座っていた。 彼は目線を手元に落とし、一心に何かに向かっていた。 「……何」 彼は心底煩わしそうな声でルカを一瞥した。 ルカは少しシュンとしながらも、アタシを抱え直しお兄ちゃんに向かっていった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加