エクスクラメーション

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当の本人、真宮はというと笑ってそれを見ているのだ。 これが、真宮が奇人と呼ばれる理由の一つである。 争いを好んで起こす奇人(変人)は、今も笑いながら『拷問』を読んでいる。 「面白いのか?その本。」 自分は彼の持っている本を覗き見るが、〈足に針を刺す〉という文章が目に飛びこんできたので、すぐに止めた。 「まあまあね。小早川の授業よりかは断然面白い」 「同感。」 真宮は読むスピードが極端に早かった。2ページに5秒もかからない。速読術という奴だろうか。 音がほぼ無いに近いこの無風地帯で真宮が本のページを捲る音がシャッ、シャッと聞こえた。 「偽裏くんは本を読むの?」 「全然」 自慢ではないが俺、偽裏 真(まこと)は生まれてから16年間本を読んだ事がない。 「そういえば…」 真宮が読み終わった本をパタンと閉じた後、俺に話しかけた。 「転校生の話、聞いた?」 「転校生?………アカバネ、くんだったっけ?そいつの事か?」 そういえば、昨日隣のクラスに何の予告もなく転校してきた奴がいる、と友達の一人から聞いた気がする。 だが別に俺はその話題に対してあまり興味を示さなかった。 この学校、〈北千寺高等学校〉に転校生などしょっちゅうの事だ。 理由は知らないが3ヶ月に一人のペースで入って来るらしい。 前年も確か俺と同じクラスに月森という奴が転校してきたのを覚えている。 だから別に珍しい話でもないのだ。 「んで、アカバネが何なんだ?」 「アカバネじゃなくて、彼の名前は赤羽(あかば)だよ。」 「あ?マジか。わりいな。」 赤い羽でアカバね。よし、記憶した。 「で?」 「僕が言いたいのは、赤羽くんの事じゃないよ。〈招かれざる者〉の事さ」 〈招かれざる者〉。 その単語を聞いた瞬間、俺の興味は大きく真宮の話に引かれた。それに気づいたのか真宮は、軽くニヤッと笑ってから話始めた。 「偽裏くんも何回か聞いた事があるだろ?町に伝わる6大都市伝説」 「当たり前だ。〈偽りのメシア〉とか〈生前の陽炎〉なんて子供の頃からよく聞くぜ。〈ゲーム愛好会の部の不審死〉なんて、ほぼ事実じゃねえか」 「君がそういう話好きそうでよかったよ」 そう言うと彼は人差し指を自分の唇に当てて、今から言う話は他言無用だからね、と言った。
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