1 拒絶

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2-5  瞬間、玄関の扉が開き、少ししわがれた老女の声がした。 「ああ、もう、やれやれだよ」 「お義母さん、お帰りなさい」 「この季節に日を指定して約束なんかするもんじゃないねえ。おや、お客さんかい」 「あ、お邪魔してます。お隣のセリューナです」 「天の娘かい。何てタイミングだろうね。おやーあ」  老女は目ざとくセリューナの作品を見つけてしまう。 「なんと独創的な形をした」 「言わないでくださいー、自分でよくわかってますから」  かかか、と老女は快活に笑い飛ばす。 「まあ、こんなのは物が入りゃいいんだよ。あたしも若いころは爺さんにそう言ってなぐさめられたもんさ」 「わー、いい人と結婚されたんですね」
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