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2-6
「んあー、いーい男だったよ。若いころの顔は今の長にちょっと似てたかなあ」
「お義母さん、お話はいいから先に濡れた服を着替えて」
「うるさいねえ、この人は。いい話をしてるんだ。邪魔するんじゃないよ」
「そんなこと言っても…」
「爺さんは、そりゃーもう腕っ節が強くてね」
「あ、待っておばあさん、風邪ひくといけないから――」
「あんたまで嫁の肩持つのかい」
「ううん、ただ心配なだけ」
「まー、いい子だねえ、あんた。もうひとり倅がいるんだけど、どうかね」
「ど、どう…って」
「ああ、あんたは長がいいんだっけ。やーめときな。長は一族のことしか見えてない。苦労するだけさ。若いうちは憧れるけど、現実を見たらみーんなそんなことは忘れちまうよ」
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