1 拒絶

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3-1 「新築ってわけじゃないけどねえ、この家はもともと先代の長が持っていてね、しばらく空き家だったから、近所のよしみでたまに風を入れたり掃除なんかもしてたんだよ。誰か住んでくれたら楽できるなあと思ってたから、ちょうどよかったね」  セリューナの両親も事情を聞き、快く老女に協力することにした。 「長は、あなたから見てどういう方ですか」  セリューナの父親が言った。 「うちの倅は長の下で働いてるんだ。そりゃーもう男前で立派な方だよ。あんな愚息を使ってくれてるだけでも、ありがたい話だね」 「そうですか…」  父親としては、セリューナがこの先どう扱われるのかという不安を解消したかったが、あまり参考にはならなかった。 「ああ、長といえばね、ちょっと忘れてたよ。セリューナ」 「はい」
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