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3-2
「悪いけど頼まれてくれるかなあ。親戚がいる北へ今日、ちょっと行ってきたんだけど、あたしゃつい、あんたのこと自慢しちゃったんだよね、うちの隣に天の娘が住んでるってさ。
で、北っていえばさ、イザエラ族の女子供や老人が逗留させられてるだろ? そこのエレーネって人から手紙をね、預かったんだよ。どうしても旦那のバキヤに届けてほしいって。これなんだけどさ」
ごそごそと、手荷物から二つ折りの紙片を取りだした。
「紙…きれ?」
「封をすると届かないと思ったんじゃないかなあ。ほら、男どもに変な合図を送ってるって思われたら、そこで止められっちまうだろ」
「あ、…そっか」
受け取ると、そこにはこちらはみな元気です、心配しないで、とだけ書かれてあった。
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