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3-3
「イザエラのことだからね、長を通したほうがいいだろ。これをどうするかのご判断は長に委ねるよ。居城へ行くのに馬が必要ならうちのに乗ってきな。頼むね」
「でもわたし、まだ一度も会いに行ったことはないし、それなら息子さんにお願いしたほうが…」
「長に来るなと言われたのかい?」
「ううん、それは言われてない」
「じゃあ大丈夫だよ。行っておいで」
にっこり笑ってくれた。
もしかして、逆に気を遣われてしまってるのだろうか。
「本当は、イザエラが手紙で連絡を取り合うのは禁じられてるけど、あたしゃ爺さんからこういう手紙をもらったことがあるんだ。だから、何となく断れなくてね」
「え、じゃ、今は…どうされてるんですか」
「ん? うん。今も長の下にいるよ。すっかり古老と呼ばれるようになっちまって居城から帰ってきやしない。新しい長が心配なのか知らないけどねえ」
「新しい…?」
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