1 拒絶

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3-4 「おや、知らなかったのかい。長は数年前に代替わりしたばっかりなんだよ。それであの功績だからねえ、末恐ろしいったらないよ」 「知らなかった……」 「まあ、あの若さだからね、脇固めてる連中も若い。さらに内紛を避けるためかほとんどそのままの人材を使ってる。頭いいやり方だと思うね。  今の長自身も前長の下にいたから、その手腕をよく見てきたってのもあるだろうけど、あまり抵抗感なく長として受け入れられたのは、やっぱり人望の厚さだねえ。あたしゃイザエラは皆殺しだと思ってたし…」 「アルスさまは絶対そんなことしないっ!」 「…まあ聞きなよ。イザエラもそう思ってただろうから、長に恩義は感じてるんじゃないかなあ。一族もイザエラには恨みつらみあるけど、皆殺しじゃあ、ちょっと寝覚め悪いしねえ。族長だけひっとらえて天へ送ったのも、まあ、よかったんじゃないかなあ。
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