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3-6
セリューナは息を呑んだ。
なんていう一族なんだろう。
これまでもたくさんのことを知ったつもりでいた。でも、そのほとんどはアルスの目から見た一族だったのだろう。
それとは逆に、一族から見た長。
そのとてつもない信頼と忠義に応え、頂点に立っているアルス。
「う、わ、わたし…っ」
とんでもない人を好きになっていた。
「籠編んでる場合じゃないだろ?」
うん、とうなずく。
「そういう人の傍にいようとする女はいない。ただ遠くから見て、感嘆するだけさ」
「でも、もう手遅れだから」
一族にとっての長、という固定観念がないままに、好きになってしまっていた。
「一族全部が恋敵だよ。行くんならそのくらい根性出して行きな」
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