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3-8
そしてその思いは一族の人たちを癒し、前進させる。
誰もが彼の心に巣食う孤独の色になど、気づかぬまま。
(私は生涯、妻帯するつもりはありません)
自覚もなく、セリューナの頬から涙が落ちた。
「泣くことないだろ。なんだろうね、この子は」
「だって、…アルスさまに会いたい」
「とりあえずこの雨だから明日にしな。しょうがないねえ、まったく」
なだめるように、おばあさんはセリューナの髪をなでてくれた。
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