1 拒絶

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4-1  医師が寝室から出ていくと、アルスはレイリューンに命じ、人払いをした。  食べ物と薬は卓上に乗っているが、相変わらず見るだけで吐き気がした。  仕方なくベッドに身を投げ、眠ろうとするが、イザエラ族のことばかりを考えてしまい、睡魔はやってこない。  仕方がないのでイザエラに関する苦情などの報告書に目を通す。  間違いなく過労です、と医師は言った。何も考えずゆっくりお休みになることが肝心です、と。  そんなことができるならとっくにやっている。  南の町はどうにか復興してきたが、その仕事が終わればイザエラ族は職を失う。この先彼らを税金でどう養っていくのか。  さらに彼らを住まわせる新しい土地についてもまだはっきりと決定していない。  天を訪問してまで求めた悪天候時の援助もされる可能性は低いし、セリューナがこちらにいる以上、返せと言ってくるかもしれない。
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