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4-5
「手を貸せ。ベッドに戻る」
「はい」
レイリューンの手を借り、ゆっくりとアルスがベッドに這いあがる。
その上から静かに毛布をかけたレイリューンは報告書を拾い集め、ベッドから伸ばされた手に戻すと、そのまま、部屋を出た。
誰かが近くにいるだけで、アルスは無理をしてしまう。
今の彼をひとりにしてはいけないとわかっているのに、何もできない。
誰か、とレイリューンは思う。
誰か早く、今すぐにここへ来て、フェシルミアさまを救ってくれ。
私には、長の命令に逆らう勇気が…ないから。
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