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彼らには正しく一族に定住し、納税者になってもらう必要がある。
そのためには土地を提供せねばならないし、もし農耕的な働きをしてもらうならば、灌漑の必要も出てくるかもしれない。
しかし、天はなぜあれほど豊かなのだろう。
広大な土地と安定した気候。
一瞬、天を狙ったイザエラ族の気持ちを理解したような気がして自嘲する。
馬鹿げた考えだ。
あっちの気持ちもこっちの気持ちも、わかるわかると言っているだけでは問題は何も解決しない。
「フェシルミアさま」
側近の部下であるレイリューンの声がした。
アルスは返事をして、空から視線を戻す。
「なんだ、またイザエラへの苦情か」
うんざりとした表情で言った。
破壊された南の町の復興に従事させているイザエラ族の男たちがこのところ、横柄な態度をとりはじめていた。
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