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入試の日は万全の体調で、私にハンデはなにもなかった。 問題だっていつもよりびっくりするほどスラスラ解けた気がする。 …それなのに。 それなのに、私は松下に負けて次席。 松下が普段努力してるかどうかなんて、中学が違う私にはわからないし、松下が努力してないとも思わない。 だけど、私だって努力したのに。 いろんなものを代償にして、努力したというのに。 松下よりも努力した、と声を大にして言えるのに。 松下には叶わないことが悔しくて、松下は悪くないのに私は松下が嫌いだった。 「うるさいよ。松下、ほんと嫌い」 《酷いなー、七は。そんなはっきり言われたら俺だって傷つくんだよ》 大体、あんたが悪いんじゃない。 私がその話題振ってきて。 私がその話題を嫌ってることくらい知ってるはずなのに。
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