*1*

4/18
前へ
/18ページ
次へ
「嫌いって言ってるでしょ。 …嫌いだからわざと傷つけてるの! 嫌いな奴傷つけて何が悪いのよ!」 馬鹿みたい。 自分が松下に勝てないからって松下に八つ当たり。 松下が何かした? いいえ、何も。 1番そのことをわかっているのは自分なのに、自分が抑えられない。 《…なるほど?》 それだけ言うと一拍置いて松下は言葉を紡ぎ出した。 《嫌いっていうのはわかるよ。 誰しも嫌いな人間が存在する。 相手が例えなにも悪くなくても、どうしても好きになれない場合だってあるよ。 俺の場合、七が俺を嫌う理由だってわかる。 自分が次席で、俺よりも努力をしてるのにどうしても勝てないこと、それが俺を嫌う理由だろ。 俺だって、七の立場なら俺のことを初めから好きになるのは無理だ。 七っていう人格とは別物で七を好きにはなれない》 だけど、と松下は一旦言葉を切る。私は何も言えずにただただ聞いてるだけだった。 《それは俺が何も努力してない場合だろ? 俺は七に俺を知ってもらうために努力してるよ。 それでも、七が俺自身を見てくれなくて、そんな風に言うなら、俺はどうすればいい?》
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加