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人里離れた、雪深い山の中。
雪で照り返す月の明かりが、森の静けさを薄めている中に、いくつものランプの灯りで照らされる場所があった。
そこは、生い茂る竹が、唯一無い場所。そこには、一軒の古ぼけた建物が建っている。
建物は酒場。二十畳ほどの広さに、カウンター席が10とテーブル席が8つあるだけの、小さな小さな酒場だ。
周囲の静けさとは裏腹に、酒場は満席になり、ちょっとした活気もある。
しかし、中で酒とつまみを摂る人間達の顔は、皆どこかしら陰があり、話し声も極端に抑えられた声量だ。
――おい知ってるか? この辺りに“星屑”の仲間がいるらしいぞ。
――らしいな。俺たちも犯罪を犯して逃走中の身だが、奴らとは格が違ぇよ……。なんたって、奴らの罪は“国家反逆罪”だからな。
建物の隅のテーブル席で話しているスキンヘッドの男たちが、密かに話している。
そこにカウンター席で飲んでいた、黒いローブを纏いフードをかぶった男が近づいて話しかけた。
――なぁ、その話、詳しく聞かせてくれないか?
――星屑のことか? あの十二人を調べてるのか? 止めておいたほうが身のためだ……。奴らに関わると、あんたも捕まるぞ。“月の飼犬(サテライト)”に。
スキンヘッドの男が諌めるが、フードの男は首を横に振った。
――いや、調べている訳ではないんだが……。
そこで一旦、言葉を切った。
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