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「なんだ小娘、我らに気安く近づくな!」
一人の騎士が少女に近づき、その幼い身体を突き飛ばした。
「痛ったーい! 騎士がなんなのさ! この飼い犬!!」
少女は立ちあがると、自分を突き飛ばした騎士の足首を蹴り飛ばした。関節には防具が無いため、騎士の足に中々のダメージが入った。
「ッ!! このガキ!」
騎士は剣を抜刀した。
「ッ!!」
振りかぶられた銀色の件を見て、少女は目を瞑った。
「止めな」
ルプスの声が響き、騎士は動きを止めた。騎士が止まったのを見て、ルプスが近づいた。
「今のは貴方が悪い。何も知らない少女を突き飛ばすのは感心しない」
横目で騎士をルプスが見ると、騎士は顔を少し青くして剣を納めた。
「ふん。確かに非は我らにある。だが、我らを“飼い犬”と言ったのは、流石にみすごせねぇな」
ルプスは、上目で自分たちを見る少女を一瞥すると、身体に力を込めた。
体中の筋肉が膨張し、ローブが弾けた。下に着ていた灰色の鎧は伸び縮みする物らしく、身体に合わせて形を変えた。
全身に銀色の毛が生え、頭には二つの耳、後ろには体毛と同色の尾も生えた。
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