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「見事な抜刀術……。うちの一と劣らないな」
金色の目は土方の言葉に揺らがない。
土方も同じく喉元にある刃に動揺してなどいなかった。
暁真は大きく息を吸って、吐いた。
「聞きたいことがある。答えろ」
一、俺が何故あの不逞浪士を殺したのかわかったのか。
二、何故俺の名を知っている。
三、俺が殺したことを知っているのならば何故今まで仕掛けてこなかったのか。
「答えろ、土方歳三」
「あぁ。いいだろう。その前にこいつを下せ。こいつはまだ斬れんだろ?」
薄笑いを浮かべる土方に対して暁真は軽く舌打ちをして大人しく脇差を腰にさしてある鞘に納める。
その時暁真の頭に思い痛みが走った。
おそらく二日酔いの症状だろう。
無理もない、いきなり体を動かしたのだから頭痛な頭が鳴るのは当たり前である。
それに気づいた暁真は深くため息をついた。
土方は何故かいきなり後方にある押入れを探り始める。
すると、紙で作られている小さな袋を渡した。
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