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芹沢と共に前川邸へ戻ったあの後すぐに一人の男を通じて土方に呼ばれた。 暁真を呼びに来たのは斎藤一。 着流しを来た背の高い男である。 武士の魂である刀を右腰に差してあるためにこの男は侍なのかと疑ったが違うと判断した。 暁真は耳を彼の足音に傾けた。 この音は――― 「あんた、昨日の夜俺と芹沢の遣り取りを死角から見てたやつだな」 一瞬斎藤の顔は歪んだがすぐに元に戻る。 この男は顔に出さない人間なんだろう、冷静――。 いや、無愛想な人間か。 「何故分かった?」 「足音だよ」 「足音?」 「人の足音はそれぞれ違うんだ、そこから判断した。……その様子だと昨日の事は土方に話したな?」 「そうさせてもらった」 暁真はしかめっ面を浮かべて斎藤と共に前川邸へ入っていった。
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