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先程いた部屋へ入る。
そこにはまた同じように土方が机に向かって座っていた。
「悪いな、一」
「いえ。では俺は此処で――」
「いや、いろ。お前にも話がある」
「承知した」
斎藤はそこに正座で座った。
暁真も同じようにそこに座る。
二人が並ぶと面白いほどの身長差があった。
斎藤は組の中でも身長は高い方にはいるが体は細い、土方と同じ様な体系をしている。
一方、暁真は小さい。体も小柄。顔も女顔で女に間違えられても仕方ないと思える。
それに――、目が似ている。
この二人が並ぶとまるで兄弟だ。
と土方は思ってしまった。
「昨日の事、この男に訊いたらしいな」
「あぁ。全部な」
「で、ご用件は?」
「芹沢を狙った理由だ。ただの力試しに狙ったんじゃねぇだろ?」
「それに応える義理はない」
暁真はこれ以上踏み込むなと言わんばかりあっさりと言葉を切る。
何か分ったのか土方は手を顎にあてて、一つ咳払いをした。
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