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「言いたくないなら言わなくていい。大体は分かっているからな」 「そうかい」 「なら聞くなよ」と悪態をつける暁真の下にこっそりと何かが後ろから近づく。 その何かはこの部屋と隣の部屋を繋ぐ障子を超えてやってきた。 そして近づいては暁真の肩に触れようとした刹那、その手を暁真は掴んだ。 「後ろからこっそり近づいてきても意味ないよ、沖田総司」 「気づいてたんですか、面白くないなぁ黒猫くん」 目を細めて彼は子供のよう無邪気に笑った。 悪戯に失敗した彼は暁真の横に座る。 その横顔は何処か子供らしかった。 優しい目、童顔とは言えないが少し幼い顔つきをしている。 この風貌は土方に劣らない美男子とも言えるだろう。 沖田を見上げてそう暁真は思っていた。 「何の用だ、総司」 「黒猫くんが入隊するって訊いて面白い話を持ってきたんですよ。あの山崎さんも知らないことですよ」 「はぁ?」 「言え、総司」 鬼の形相を煌めかせて土方は問う。
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