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「私と同じで黒猫くんは大の甘いもの好きなんですよ」
土方にとってどうでもいいことを沖田は陽気に答える。
少し土方の拳が震えているのを彼は知らない。
そしてまた、少し暁真が青ざめて冷や汗をかいているのも知らないまま、
沖田は続きを語る。
「一度甘味屋で見かけたとき、黙々と黒猫くんは三色団子10本、みたらし団子4本、お汁粉7杯、あんみつ9杯を食べてましたね。あのときの店主と言ったら泣いていましたよ」
「……そそそそそういうお前もだろ!知る人ぞ知る秘密の甘味屋の近くでお前を見たとき店に行ったら店主が泣きながら店を閉めていたんだ。訊くと三色団子15本、蓬餅と桜餅と御萩を20個、あんみつを9杯を食べたらしいじゃないか!たたた、たの、たの、たのし、楽しみにしていた桜餅よ御萩を食いやがって!!」
二人の周りは一瞬にして喧嘩に。
食い物の恨みは怖いと聞くが本当らしい。
暁真の目が違う。
ある意味違う怒りの目である。
土方は顔に青筋をたてて、震える拳が今にも殴りそうだ。
斎藤はボーっと、部屋から空を眺めている。
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