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「で、総司お前の用事って何だ?」
「黒猫くんに会いに」
「……済んだだろうが」
「いえ、まだ…と言いたいですが、後ででいいや。また、後で黒猫くん」
そう言って立ち上がると沖田は暁真に耳打ちをし、そのまま立ち去って行く。
暁真は驚愕した様子で立ち去って行った沖田の影を見ていた。
耳打ちされた耳を押さえて、着物の合わせ目をぐしゃりと握る。
何故――
何故あの男は知っている―――……
「どうした、佐藤」
「いや何もない――」
落ち着きを取り戻すために深く深呼吸をする。
吸って、吐いて、吸って吐いて…。
やがて落ち着いたのか、座りなおした。
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