3.ある母娘【親子】の物語

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「もし、あなたのお母さんがあなたの目の前で殺されたら、どうする?」 南依奈が今、この文を読んだあなたに問い掛ける。 答えてくださいね。 あ、考えられなければ、『身近な人』『好きな人』に置き換えてもいいです。 ―――南依奈がお話をしてくれるみたい。 「ある親子が店に買い物に来ていました。母と娘。娘は2人いました。 そして、ある男と出くわしてしまうのです。 その男はナイフと銃、両方持っていました。 母は娘たちを店の奥のスタッフルームに押しやりました。 暫くすると、声も聞こえなくなったので、娘たちは建物の中を回りました。ざわついていました。 建物の前で母と男が向かい合っている。 女の子1人が言いました。 『やめて!おかあさんをころさないで!』 『動くな』 時間が止まった。その例えが相応しい。 『おねがい。娘たちだけは殺さないで!!』 母が男に向かって叫ぶ。 『分かった』 そう言うと、ナイフで母の胸を刺す。 『ありがとう。私を刺してくれ…て……』 胸を押さえて母が言う。 すると今度は銃を取り出し、何度かその母に向かって撃つ。 『お望み通りだ。じゃあな』 男が言い捨てて、ある車に乗り、去る。」
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