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「『おかあ…さん……』
1人の少女が倒れる。もう1人の少女は叫んでいた。
『だれか…きゅうきゅうしゃをよんでください!』
その少女たちの母はそのまま起きることはなかった。
その母は最後まで娘たちを守りきった。
そのことは新聞に小さく載った。
その少女たちの名は
“みやもと あんな”と“みやもと みいな”と言いました。」
南依奈は息をゆっくり吐いた。
「私、幼いながらも助けを求めてた。
泣くよりもお母さんを助けることが優先だと思ったのかな。
…蒼はショックで数日間寝込んじゃったけど☆」
まだ夢を見ているかのように、笑う。
「私たちは目の前で母を殺された。
いまだに血を見るのは苦手だけど、何としてでも2人で犯人を探し出すの」
宣言する。
2人の父親は出張で3ヶ月に一度しか帰ってこない。
その日は決まって母の墓参りに行き、
夕食には母の大好きだったグラタンを食べる。
南依奈は毎日、日記を書いている。
天国の母と会話するために。
書き出しは必ず『お母さん』だった。
「お母さん、今日は蒼が変な質問をしてきた。答えられなかった。
いつになったら答えられるかなあ?」
ノートを閉じた。
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