1人が本棚に入れています
本棚に追加
―十二支が決まったのは遥か昔、それはまだ人間すら居ない時代のこと
神様の家に集まった動物達は楽しい宴会をしました
子は猫を騙した事を頭の隅に置いて丑の背に乗り楽しみ
寅は寝転んで卯巳申戌亥の温かい湯タンポになり
竜は神様と酉を乗せ飛んだりして
午と未は仲良く草を食べて
夢のような一日を過ごしました…
――
―
終わりの時間が近づくにつれ神様は笑わなくなり、竜は神様の頬に自分の頬を慰めるかのように擦りました
「竜…そなたはお調子者に見えたがとても優しいのだな。ありがとう…」
無理に微笑む神様に他の動物達は心配そうに神様の元へ集まった
「私の命はもうすぐ終わる…桜の木が満開になってもいずれ散るのと同じように、この世に永遠はないんだよ…」
皆は悲しく鳴いたり呻いたりした
“神様、どうか消えないで下さい!、私達の傍に…!、また宴会をしましょうよ!”
「ありがとう、皆…こんなに嬉しいことはない…」
神様はニッコリ微笑んで涙を流し、皆を抱き締めた
最初のコメントを投稿しよう!