第1章 最後の思い出

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 私は振り返る。  屋上の入り口の所に茶色の髪をした男の子が立っていた。 男の子は眩しそうに手をかざしている。 ――すごく綺麗な顔……ネクタイの色からして多分、2年生だと思う。  身長は“あの人”より少し高いくらいかな……?  そんなことを考えていたら、先輩がこちらを見、目があってしまった。 「――あ」 「えっ……」  すると先輩はにっこりと微笑んで、屋内に入って扉を閉めてしまった。  それと入れかわりに綾翔が屋上に入って来て、片手にパンを抱えながらこっちに向かって歩いてくる。 「お待たせ」  そう一言だけ言って無邪気な笑顔を見せた。
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