第2章 君との別れを

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斎藤くんは穏やかな顔で笑うと、一度試着室を離れてまた戻ってきた。 「どうしたの?」 「これでもいいんじゃない?」 と言って渡してきたのは透けている服だった。 なんというか……セクシー。 「――って、あのねえ!」 「男ならみんな喜ぶと思うけどなぁ。とくに綾翔とか」 「あ、綾翔はそんな変態じゃないと思います」 「バカだなあ。河井さんが着るから喜ぶんじゃない」 そう言ってクスクスと笑う。 私は「もういいです!」と言ってカーテンを閉めて、そして自分の服を着た。 試着室を出ると、斎藤くんはぼぅっと窓の外を見ていて、こう普通に見るとやっぱりカッコイイなって思うのに。 ……中身が残念。
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