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「斎藤くんって下の名前何?」
そう聞くと、斎藤くんはぴたりと止まって、私を困った表情で見てきた。
「河井さん……俺達同じクラスだよね。しかも何ヵ月一緒にいると思ってんの」
「え、あはは」
綾翔も佳奈も、ていうかクラスのみんな、斎藤くんのことは“斎藤”なんだよね。
下の名前がわからないから私の携帯には斎藤としか書いてないし。
「……綾翔にでも聞けば」
「あれ、怒ってる!?」
「河井さん。河井さんなんかもう知らないよ。このまま勝手に迷子になればいいんじゃないかな」
「え!? ひ、ヒント! ヒント貰えたら思い出します!」
斎藤くんは「本当かよ」と言いたげな顔をした。
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