第2章 君との別れを

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「斎藤くんって下の名前何?」 そう聞くと、斎藤くんはぴたりと止まって、私を困った表情で見てきた。 「河井さん……俺達同じクラスだよね。しかも何ヵ月一緒にいると思ってんの」 「え、あはは」 綾翔も佳奈も、ていうかクラスのみんな、斎藤くんのことは“斎藤”なんだよね。 下の名前がわからないから私の携帯には斎藤としか書いてないし。 「……綾翔にでも聞けば」 「あれ、怒ってる!?」 「河井さん。河井さんなんかもう知らないよ。このまま勝手に迷子になればいいんじゃないかな」 「え!? ひ、ヒント! ヒント貰えたら思い出します!」 斎藤くんは「本当かよ」と言いたげな顔をした。
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