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私たちは日陰の方に移動をして、私はお弁当を綾翔はパンを食べ始める。
「あ、ねえねえ綾翔。さっき先輩とすれ違わなかった?」
「ん? あーすれ違ったけど知り合いか?」
「そうじゃないけど、すごくカッコよかったから!」
「お前あんなんが好みなんだ」
綾翔は興味なさそうにパンに噛り付いている。
暑いのかワイシャツのボタンを二つくらいあけて、上着を脱いでいる。
「そんなんじゃないけどさ。なんか綾翔と正反対って感じ!」
「は?」
「なんかあの先輩、優しそうで物静かで大人で爽やかでした!」
綾翔は「ふーん」と言いながら、また一口パンを食べた。
私もそれを見てお弁当の玉子焼きを一つ口に入れる。
甘い玉子の味が口に広がる。
「綾翔だって、可愛いなぁって思う子くらいいるでしょ?」
「いねーな」
「好きな人くらいいるでしょ」
「それは……」
パンをかじるのをやめて、私から目を逸らすようにして俯いた。
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