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バスはもちろん二人乗りの場所で隣同士で座る。
先輩の体温と匂いがすごく近い。
「な、なんか先輩とお出掛けが出来るなんて夢みたいです」
「ん? そうかな」
「だって……先輩とこうやって知り合えたことすら奇跡というか。とにかく嬉しいんです!」
私は手を胸の前でぐっと握る。
先輩は少しだけ照れたように笑って「僕もだよ」と答えた。
いつも降りる朝日ヶ丘を過ぎた。
今日はいつもより遠出で、あまり行ったことのない場所に、しかも先輩と一緒。
「なんか緊張してきました」
「……真緒ちゃんは可愛いね……」
先輩が小さく呟いた言葉は私には届かなかった。
それでも、先輩の小さな微笑みだけはしっかりと私の瞳に映っている。
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