第2章 君との別れを

56/103
前へ
/845ページ
次へ
「ん? どうしたの?」 「あ、あの……っ」 先輩は足を止めて、笑顔で振り返った。 私はドキドキと音をたてる心臓をぎゅっと握り、一回息を深く吸って、足に力を入れて真っ直ぐに先輩を見た。 最初は口を開けるだけで何も出てこなかった。 でも言わないと何も変わらないし始まらない……こんなチャンスがめぐってきているのにスルーはできない。 私は覚悟を決めて、心にある言葉を声に出す。 「わ、私……あの。先輩のことが好きで……あ、いや早いってわかってます。まだ先輩のこと何も知らなくて……」 先輩を真っ直ぐに見ていた視線は、いつの間にかそらしてしまっていた。
/845ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1449人が本棚に入れています
本棚に追加