第2章 君との別れを

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「ジュースないから買ってきてちょうだい。あんたたちの好きなのでいいから」 お母さんは満面の笑みで言うと、私と綾翔の肩をつかんで無理矢理玄関に押して行って…… 「いってらっしゃい」 絶対語尾に“ハート”が付くような猫なで声で言うと、そのまま玄関のドアを閉めてしまった。 しかもカチャッと鍵のかかる音が聞こえたんですけど。 「……ありえませんね」 「……ああ、ありえねー」 私たちはそう呟き、お互いに顔を見合わせて、仕方ないと買い出しに行くことにした。 「つか、ジュースくらい買ってろし。あいつら」 「まったくよね……」 「つかつか、何で蛍いないわけ。あいつがいたら俺はゴロゴロできたのに」 「あとでお兄ちゃんに肩揉んでもらおー」 綾翔と蛍……私のお兄ちゃんも幼馴染みたいなもので、二人ともすごく仲がいいんだよね。
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