第2章 君との別れを

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夏休み後半は、国語の先生から出された恐ろしい漢字書き宿題に追われていて大変だった。 「はぁ……学校かぁ。また勉強の毎日が始まるのかぁ」 「そうだな」 「綾翔、暑いし帰りアイスおごってよー。もう嫌だこんな暑い学校生活の日々!」 「あー! もう、うるせえ!」 綾翔は私のほっぺをムギュッとつねる。 「いだだだだだっ!」 そして、楽しげにニヤリと笑みを浮かべて、スタスタと歩いて行ってしまう。 「もう綾翔のハゲっ!」 「ハゲてねーよ!」 私は小走りで綾翔を追いかけて、隣に追い付いたところで歩き始めた。 綾翔はため息まじりに、少しだけペースを遅くしてくれる。 そんな小さな優しさに自然と笑顔がこぼれた。
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