第2章 君との別れを

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私は、お化け屋敷などがあるちょっとした広場の方に抜けた。 せっかくのお祭りなのに、ひとりぼっちだなんて……。 「はあ……最悪……」 携帯の電波は相変わらず一本も立ってないし。 目の前を楽しそうなカップルや仲間同士が歩いて行くのを見て、ちょっと涙が出そうになる。 この祭りに来ている人の中で、こんな風に寂しく一人でいるのは私だけだろうな。 しかも私服ならまだしも、こんな気合いのはいった浴衣で。 「帰るにも帰れないしなぁ。みんな探してるよね……きっと。ごめんねみんな」 慣れない下駄で足が痛くなってしまい、そのままその場にしゃがみこんだ。 時々通行人が私の方を見る。 なんだかすごく寂しくて恥ずかしい……。
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