第1章 最後の思い出

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 そのうち、チャイムが鳴って昼休みが終わり、それぞれが自分の教室へと戻って行き、次の時間の教科書やノートを出して先生が来るのを待つ。  私と綾翔と斎藤くんは窓側の二列の一番後ろと後ろから二番目で近くに座っている。 「河井さんと綾翔は宿題やったの?」 「え!? 宿題なんかあった!?」 「お前馬鹿だなー。英文を訳してくるんだろ」 「ちょ、綾翔見せて!」 「嫌だよ、あってるかわからないし間違ってたら嫌だし」  綾翔は私に届かないようにノートを持って遠ざけ、ひらひらとノートを動かす。  私は綾翔の膝の上に乗って手を伸ばすけど届かなかった。 「河井さん、だからそんなことやってたら変な噂たつよ」 「いつものことだし大丈夫! ねー綾翔っ!」  綾翔は「どけ」と言って私の頭を押す。  負けないように頭に……というか首? に力を入れて抵抗をしてノートに手を伸ばす。
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