第1章 最後の思い出

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綾翔と私の身長差は六センチくらい。腕の長さもそれだけ違うからどんなに手を伸ばしても届かないのだ。 私は綾翔の膝に跨がる体勢になっているため、座高だけは綾翔より高くなっていた。 私はそれを利用して綾翔を見下してみる。 「んだよ、生意気に見下しやがって。重い」 「お、おも……!? 綾翔よりは軽いもん!」 「俺、お前より身長あるし男なんだから当たり前だろ」 綾翔は嫌みたらしく笑って、ノートをひらひらとしてみせた。 私はむきになって、綾翔の肩に手をついて、もう片手でノートの方に手を伸ばす。 ぐっと力をいれて伸ばすと、ノートの角に触れる事が出来た。 「あっ!」 「ちょ、おまっ……待てっ」 「わっ!?」 私が力を入れた時、そのまま後ろに綾翔が倒れて、私もそれに続いて倒れていく。  ドスッ と、音が聞こえて、目を開けると綾翔を押し倒す体勢になってしまっていた。
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