第3章 涙の意味とは

2/93
前へ
/845ページ
次へ
お祭りの次の朝。 綾翔はメールで言っていた通りに迎えには来てくれなかった。 お母さんに「喧嘩でもしたの?」と聞かれたが、私は「そんなんじゃないよ」と言って笑った。 今は一人で通学路を歩いている。 久しぶりの一人での登校だ……とても違和感のある光景だけど、仕方ないと自分に言い聞かせる。 私は間違っていたの。 もし先輩に女の子の幼馴染がいて、一緒に登下校をしていたら。 きっと私は複雑な気持ちになってしまう……だからきっと先輩も同じなんだ。 もう前みたいには戻れない。 私には先輩がいるのに……なんで綾翔がいないだけで、こんなに寂しくなるんだろう。 いつも一緒にいた兄弟みたいなものだったから――。
/845ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1449人が本棚に入れています
本棚に追加