第3章 涙の意味とは

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男の子も私も固まったまま動かない。 ……す、すみません動いていただけませんでしようか……顔も上げられないんですけど。 「…………」 「……おい」 男の子は私の腕を付かんで、お腹から離す。 そして私の頭を軽く手でコツンと叩く。 「あ痛っ」 「セクハラだぞ」 「なっ……!」 顔をあげると、そこに立っていたのは綾翔で……。 「セクハラ。変態。痴漢野郎」 「ちょっ……!? あんたがいきなりドア開けるからじゃない!」 「いちいち“開けます”とか言わなきゃいけねーのかよ!」 「ええ言いなさいよ!」 私たちは「うぅーっ」と睨みあう。 ……あ、こんなやり取り久しぶりかもしれない……。
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