第3章 涙の意味とは

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いや、それよりもこうやって話すのも久しぶりかもしれないな。 「つか、邪魔。どけろ」 「なんで私が。あんたがどけなさいよ」 「お前がどけろ」 「いーやあんたがどけなさいよ」 そんなきりのない言い合いをしていると、苦笑いを浮かべながら斎藤くんが綾翔を退けさせる。 「綾翔レディファーストだよ」 「ふざけんな。こんなの女子じゃねえ」 「ちょ! 私だって女の子ですから!」 私は綾翔の横髪を付かんで引っ張る。 「ちょ、なにすんだ!」 「あんたが何なのよチビ!」 「お前よりは高ぇよ!」 また二人で言い合っていると、斎藤くんは「あはは……」と困ったように笑った。
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